luna creciente とは


2014-09-17

屋久島


物心ついたころから、
生まれ育った家には木がたくさんありました。
いつもトラックが出入りし、
木を運んでいました。
高く積み重なった木からはいつもいい香りがしました。

東京に来てから、
家業は材木店なんだなというのを強く意識しました。
もう、あとを継ぐものがいないので、今年で終わってしまいましたが、私のなかではずっと木のことが続いていました。


いつしか「木」が私のなかで大きな存在になっていて、
今年に入り「7200年」の木が屋久島にあることを知りました。
みたいなあと思っていたら、
尊敬する写真家さんが屋久島で展示をするということを聞き、それならばこのタイミングということで行ってきました。

旅は子供のころから好きで、
24歳くらいから一人旅をするようになりました。
いつも電車とバスと歩きが私スタイルでした。

大きなリュックとカメラで、毎年日本を巡っていました。

でも、なぜか今回の屋久島はとても緊張しました。
なにか覚悟が必要な気がしたのです。
島に着くと少し蒸し暑く、そして緑がとても濃く、生き生きしていて、初めて感じる雰囲気でした。

朝3時に起きて
4時に出発。
6時に登り初めて、
「7200年」の縄文杉に出会えたのがお昼の12時でした。
それまでの道のりで、1000年以上の木がたくさんあり、じっくりみたいところでしたが、よそ見をしていると足を踏み外しそうになる険しさ。

今回はガイドさんも、そして初めて会う仲間たちも一緒だったので、
いろいろ説明をしてもらいながら、何とか写真を撮りながら。

こんなに大きくなるのだから、きっと土がいいんだろうなと思っていたら、
屋久杉の下は土ではなく、岩だということを聞きびっくりしました。
岩の上にこの木が立っているのです。
ゆっくりゆっくり時間をかけて、大きくなるのです。

想像以上の世界に、唖然としてしまいました。

帰りも同じ道のりを歩き、1日22キロで10時間。
こんなに続けて歩いたのは、きっと生まれて初めてでした。



次の日、太ももが筋肉痛でしたが、なぜか歩き足りない気がして、
さらに4時間以上歩き続けました。
カメラ片手に海沿いの道をずっとまっすぐ。
さらに次の日は、島をバスでぐるっと回りました。
何とか屋久島の表面だけにやっと触れられた気がします。

どこにも境界線はなく、自然も人も動物もみんな大きな円の中で
暮らしている印象を受けました。
本当に豊かな場所。
厳しくもあり、だからこそ優しくもある。

とてもシンプルで真っすぐで、
いかに私たちが物事を複雑にして、
心を曇らせているかを感じることができました。

「素直にありのままに生きなさい」と
山から空にあがる雲の流れをみているときに、ふと聞こえたような気がしました。

本当に大切なことは何か
をいつも自分に問いながらここまで来ましたが、
またこの旅で教わりました。

本当にありがとうございます。
また行きます。屋久島。